腸内環境がすべてを決める!わたしたちの健康と美容

基礎知識
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腸内環境を整えることが話題になっているけど、腸内環境を改善することの何が良いの?……と思っていませんか?

腸は、人間が生きていく上でなくてはならない器官。なんといっても、人はほぼ毎日食事をして毎日排泄しますからね。

それなのに、腸は日頃あまり意識されることのない、ちょっと可哀相な器官でもあります。「胃が痛いな」「ちょっと便秘気味……」ということはあっても、「なんか最近、大腸の調子が良くないんだよね」なんて、あまり聞かないでしょう?

この記事では、腸の仕事や話題の「腸内フローラ」について、腸育コンシェルジュが解説します。

※2024年1月時点の情報です。
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腸とは

腸の中
大きくわけるとこんな感じです

ヒトの腸は、大きく分けて2つ。小腸と大腸です。細く長~いのが小腸、太く短いのが大腸ですね。

早速、それぞれの働きを見ていきましょう。

小腸の役割

小腸は、長さにして約3m表面積はテニスコート1~2面分と言われています。

小腸の中でも臓器は3つに分かれていて、胃に一番近いのが十二指腸(大人の指12本分くらいの幅があるから十二指腸。有名ですね!)、その他が空腸と回腸になります。

小腸の仕事は、食道と胃を通過してきた食べ物を消化吸収すること。食べ物はすべて胃で消化されると考えられがちですが、実はそうではないのです。

大腸の役割

大腸の長さは、約1.5~1.6mほど太さが直径5~7cmなので、どちらかといえば「太く短い」腸ですね。

大腸も細かく分かれていて、横行結腸・上行結腸・下行結腸とS字状結腸があります。腸に住み着いている細菌、いわゆる「腸内細菌」も大腸に一番多く存在しています

大腸の主な仕事は、小腸で消化吸収されなかった残り物の面倒を見ること。つまり、食べカスや腸壁がはがれたものなどをまとめて便を作るのです。

便秘体質だったりお腹を下しやすかったりといった人は、大腸の働きが鈍っていると見て良いでしょう。

その他の腸

小腸と大腸の他にも、盲腸直腸があります。

盲腸から伸びる虫垂は、免疫細胞の産生に非常な重要な役割を担っていますし、直腸には、便を一旦ためておいてちょうど良い量の時に便意サインを出すという仕事があります。

腸にあるどの臓器も、なくてはならないものなんですね。

hiromi
hiromi

腸にあるすべての器官がバランスよく働いてくれることで、身体に必要な栄養や免疫がつくられます。いらないものを外に出すのも腸の役目ですね。

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腸の役割

腸の主な仕事
これら以外にもいろいろあります!腸は働き者☆

次は、腸の主な役割について。

わたしも見習わなければ……と思ってしまうほど、腸は働き者なんです!

届いた食べ物を仕分けする

食道と胃を経由して届いた食べ物は、腸で消化吸収されます。

栄養素を分解して、必要なものと不要なものに分けるのが腸の役目。身体に必要なエネルギーや酵素や酸を作り出し、全身の器官に送り出すという大事な仕事があります。

腸が休むと、すべての機能が正常に働かなくなるといっても過言ではないくらい、腸は重要な役割を持っているのです。

老廃物をまとめて送り出す

身体に必要のないものや残ってしまったものをまとめて、体外に送り出すのも腸の仕事です。

これは主に大腸の担当で、適度な水分と腸内の細菌や腸壁がはがれたものなどを便として排泄します。これがなければ、身体に不要なものや毒素が腸内に居座ることになってしまうんですよ。

免疫をつくる

食事をしたり呼吸をしたり、人の口からは実にさまざまなものが身体に入り込みます。

その中にはもちろん病原体も混ざっているため、わたしたちの身体には防御機能が備わっています。それが「免疫」です。腸には、全身の2/3に相当する免疫細胞があり、常に身体を守ってくれているんですよ。

また、小腸には免疫のいわば駐屯地である「パイエル板」があります。そこに駐在している免疫細胞が、小腸に届けられた乳酸菌などをエサにして活動します。

ホルモンを分泌する

「セロトニン」って聞いたことがありますか?

物事に対して、幸せでポジティブな気持ちを感じられる大切なホルモンです。別名「幸せホルモン」「幸福ホルモン」ともいわれています。

腸には、このホルモンの前駆体をつくる細菌がたくさん住んでいます

ホルモン=脳と考えがちですが、実はその前駆体をつくっているのは腸なのです。

脳に指令を出す

腸は、「セカンド・ブレイン(第二の脳)」とも呼ばれています。

腸と脳は、脊髄と迷走神経を通してつながっており、脳の働きの90%は腸の指令によるものともいわれているんですよ。

脳死状態になっても身体が機能し続けるのは、腸が自立して働いているから。逆に脳は、必要とする栄養素のほとんどを腸に頼っているため、腸がストップすると何もできなくなってしまいます。

hiromi
hiromi

消化の過程の1つであるだけではなく、腸は身体のすべての臓器に関わっています。腸が健康であれば身体も健康でいられるというのは、そのためです。

そればかりではなく、腸は記憶力や人の性格にもかかわっています。記憶力が良い人と良くない人がいるのは、腸内細菌のバランスが違うからなんだそうですよ!

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腸内細菌あれこれ

腸内細菌の分布イラスト
腸には、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類の菌が住んでいます。

腸内細菌は、数にして100兆個~1000兆個(!)ともいわれています。その種類は約3万種類と考えられていますが、何せヒトの腸に住み着いている微生物のことなので、本当のところは現代の医学・科学では解明されていません。

大きく分けると3グループ。善玉菌、悪玉菌、日和見菌です。この3種類の菌の特徴をまとめました。

みんなの人気者!善玉菌

おなじみ、善玉菌は腸内環境の改善と維持に努める頑張り屋さん。代表として、乳酸菌やビフィズス菌が挙げられます。

善玉菌の主な仕事
  • 乳酸や酢酸などの有機酸をつくる
  • 病原菌の活動を抑える
  • 腐敗菌の増殖を防ぐ
  • 腸のバリア機能を高める
  • 身体の老化を防ぐ

健康と美容に欠かせない善玉菌は、腸内に2割以上いると良しとされています。

悪いことばかりじゃない…悪玉菌

悪玉菌は、名前からして身体に悪さばかりしそうなイメージですが、実は違います。悪玉菌の中にも、なまけて仕事をしなかったり、食べ物を分解する過程でビタミンの生成を手助けしてくれる菌がいるんですよ。

アトピーの赤ちゃんの腸内には、大腸菌がいないという報告もあります。怖~い病気のもととされる大腸菌にも、いなければ困るという側面があるのです。

とはいえ、わたしたちを何かと困らせる存在には違いありません。腸内には1割程度でとどめておくのが肝心です。

のんびり日和見主義♪日和見菌

日和見菌は、その名のとおり日和見主義のどっちつかず。

善玉菌と悪玉菌をのぞいた約7割がこの日和見菌ですが、善玉vs悪玉の攻防を日々眺めていて、その時々で優勢な方に味方をするといった立ち位置です。

最近話題の「痩せ菌(バクテロイデス門の菌)」「デブ菌(ファーミキューテス門の菌)」も、日和見菌のグループに属しています。

hiromi
hiromi

腸内細菌のバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7がちょうど良いといわれています。

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腸内細菌の集合体「腸内フローラ」

腸内フローラ
腸内細菌たちは種類ごとにまとまって腸内の壁に生息します。

テレビや雑誌でもよく見聞きするようになった「腸内フローラ」。小腸から大腸にかけて生息している腸内細菌の集まりが、花の群生に見えることから、こう呼ばれるようになりました。

学術的には「腸内細菌叢(そう)」といいます。

腸内フローラは人によって違う

腸内フローラは指紋や声紋と同じで、人によって違います。2つと同じものはありません。

その中でも母子の腸内フローラは似ているといわれていますが、これは分娩時に産道を通ってくる過程で細菌を受け取ったり、母乳によるものであったりと、理由はいろいろ。

その後、食べるものや触るものでいろいろな細菌を体内に取り込み、自分だけの腸内フローラを作り上げていくのです。

できあがった腸内フローラは変えられない

諸説ありますが、人は5~6歳ころで腸に住む細菌の種類がほぼ決まり、思春期のころには腸内フローラの形が完成します。

それからどんなに頑張っても、腸に住む細菌の種類は変えられませんし、腸内フローラを入れ替えることもできません。腸内フローラは一生モノなんですね。

ちなみに、痩せ体質・太り体質も、腸内フローラによって決まっています。太りやすい人が、いくらダイエットをしてもなかなか痩せられないのは、太りやすい腸内フローラを持っているからなのです。

腸内フローラは育てることができる

腸内細菌の種類を増やしたり減らしたりすることはできませんが、特定の細菌を育てることは可能!増やしたい腸内細菌が好むエサ(食事)を摂取したり、生活習慣を見直して睡眠をたっぷりとってあげたりすれば良いのです。

腸内細菌は人の体内でしか生きられませんから、主導権は持ち主にあるともいえるんですよね。

身体が健康で若々しく、そしていつまでも美しくいられるかどうかは腸内環境にかかっていますが、その腸内環境をどう育てていくかはその人次第ということです。

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腸内環境と健康

腸内環境と健康の関係
腸は、健康のかなめです。

あらゆる仕事を引き受けてくれる腸は、当然のことながら健康と深く関わっています。具体的な例を見てみましょう。

快適な排便は腸内環境次第

腸内細菌のバランスがちょうどよく保たれていることで、毎日の排便が快適なものになります。

腸内環境が整っていれば、小腸が身体に必要なものをすべて取り置き、大腸が身体に不要なものをすべてまとめ、直腸が最適なタイミングで排便シグナルを出してくれます

この一連の作業がうまくいかないと、全身に送られるはずの栄養が不足してしまったり、腸内に老廃物が残って腐敗してしまったり、腐敗便によって腸内バリアが壊されて病原菌が血液中にもれだしたり……。身体全体が負のループにおちいってしまうんですね。

腸内環境が整っていると病気にも強い

腸内細菌が良いバランスで共存し、腸内環境が整っていると、病気にかかりにくくなります

  • 免疫細胞が活発に働いている
  • 病原体を素早く攻撃する細胞をつくる
  • 病原体が体内に回らないよう予防する

また、腸内細菌は体内酵素(約14万種類)やビタミンをつくる役目もあります。スムーズな消化活動、疲労回復が常に行われていることも、健康でいられるための秘訣ですよね。

腸が強いとメンタルも強い?

腸には、ホルモンの前駆体である神経伝達物質をつくる役割があります。

「幸せホルモン」のセロトニン、「やる気ホルモン」のドーパミンなどは、わたしたちが快適な生活を送るために、なくてはならないもの。

些細なことで幸せを感じたり、ちょっとした一言で「よし頑張ろう!」と思えたり……。物事を前向きにとらえ、少しの失敗でクヨクヨしない。そういった、メンタル面の安定は腸内環境が整ってこそなのです。

hiromi
hiromi

腸が元気だと、すべてのことがうまくいきそうな気がしてきます♪

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腸内環境と美容

腸と美容
腸内環境を整えれば美も思うがまま!

腸内環境を改善すれば、スッキリ痩せてキレイになれる!……というのは、ある意味では本当のことです。腸と美容の関わりについてまとめました。

腸には肥満防止に役立つ細菌がいる

ダイエットに一役買ってくれる腸内細菌。

それはずばり「バクテロイデーテス門」に属する細菌です。善玉菌でも悪玉菌でもない、日和見菌のグループです。

バクテロイデーテス門の細菌は、腸内で短鎖脂肪酸という有機酸をつくりだします。これが身体のあちこちで、肥満防止に活躍してくれるのですね。

短鎖脂肪酸がしてくれること
  • 脂肪の蓄積をストップ
  • 全身の代謝を活性化
  • 腸管ホルモンの分泌を高めて食欲を抑える

フードファイター、いわゆる「大食いタレント」と呼ばれる人たちの腸内フローラは、バクテロイデスとビフィズス菌が占める割合が高く、あわせてなんと7割以上!(一般女性は5割弱)

あれだけ食べても太らない秘密がわかるような気がします……。

肌質は腸内環境で決まる?

疲れがたまると肌が荒れる、食べすぎると吹き出物が出る……etc.

こうしたことも、腸内環境が影響しています。

腸では、身体に必要な栄養を各器官に届けるという活動が日々行われています。腸が元気に活動していると、肌に必要な栄養がしっかりと送られるんですね。

逆に腸内環境が良くないと、脂分や糖分が分解できずに腐敗物となり、腸から全身にもれだしてしまいます。腐敗産物が肌に悪影響なのは、言うまでもないこと。肌の弱酸性を保つ常在菌が攻撃され、肌荒れを引き起こしてしまうんです。

腸の状態をつねに良くしておくことが、キレイな肌をキープするコツです。

腸内環境を整えることが老化防止につながる

女優の綾瀬はるかさん、腸年齢が実年齢の-10歳だって知っていますか?(芸能に疎いわたしは、綾瀬さんの実年齢さえ知らず20代後半くらいだと思い込んでいました)

これは江崎グリコ株式会社のイベントに関連して事前に行われた腸検査の結果だそうです。腸が若いと、見た目も若いんですね。すっきりしたスタイル、肌ツヤ、どれをとっても30代後半には見えません。

ちなみに大女優の草笛光子さん。あの方の腸年齢は実年齢-15~16歳なんだそうです。確かに、80代半ばにはとても見えません……。

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腸内環境を整える方法

腸内環境を整える3つの方法
腸内環境を整えるために意識することは、大きくわけて3つあります。

では、腸内環境を整えるために必要なこととは何でしょうか?普段の生活でできる3つのことを、簡単にお伝えします。

食事内容

身体に良い微生物・菌を摂取することをプロバイオティクス、善玉菌のエサとなって結果的に腸内に良い影響をもたらす食べ物を摂取することをプレバイオティクスといいます。

普段の食事は、この2つのバランスがそろっていることが大事。

腸には〇〇が良い!という宣伝につられて特定のものを食べ続けたり、腸に悪そうだからといって食べたいものを我慢してストレスをためるのは間違いです。

生活習慣

健康と美容には早寝早起きが大事!とよく聞きますが、それは正しくありません。

筑波大学睡眠医科学研究機構によると、朝型/夜型体質は遺伝子レベルで決まっているので、無理な早寝早起きはかえって身体に良くないのだそうです。

大事なのは、自分が快適に思えるペースで生活すること。

そして、睡眠時間と入浴時間をしっかり確保することです。

運動

運動といっても、毎日〇km歩くとかエクササイズを続けるという意味ではありません。

ただ、腸の構造上、ある程度身体を動かすことを習慣化することをおすすめします。というのも、小腸は身体の中で浮いているので自由に動けるのですが、大腸は身体に固定されているので、身体そのものを動かしてあげないと、刺激を与えることができないんですね。

朝起きた時に軽く身体を伸ばしてみる、仕事の合間に上半身のひねり運動をしてみるなど、スキマ時間に少し身体を動かしてあげましょう。

お腹の上から腸をもむ「腸もみ」もおすすめです。

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まとめ

腸内細菌は、わたしたちが身体の中で飼っている生き物のようなもの。かれらが喜ぶエサ(食事)を与えて、良い環境をつくって育ててあげなければなりません。

同じように、腸内細菌たちは身体を健康に保ち、わたしたちを生かしてくれています。

人間と腸内細菌は、共存の関係。腸内環境を整え、良い状態をキープすることで腸内細菌はわたしたちの望むように働いてくれます。

腸活・腸育というと大変なもの、面倒なものと思ってしまうかもしれませんが、大事なのは「普通の食事をして普通の生活を送る」こと。それだけです。

ぜひ、一緒に美腸を目指してみませんか?

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