ついに「痩せ薬」が完成?腸内細菌に着目した肥満ワクチンとは

基礎知識
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時々、何の努力も必要ない「絶対に効果がある痩せ薬」があったら良いのになぁ~と思ったりしませんか?

食事改善も運動も何もかも放り出したい。サプリなんて結局は役に立たない。そもそも、体重に一喜一憂するのに疲れた!

飲めば効く痩せ薬があれば、多少の散財をしてでも欲しい!なんて……。

そんな魔法の薬みたいなものがこの世に存在するわけがない!と思ってしまいそうですが、最近、大阪市立大・東京大などの研究チームが、肥満防止につながる可能性のあるワクチンを開発したとして、ニュースになりました。

2019年8月。アメリカの消化器病学会誌にも掲載された、驚きの内容を調べてみました!

※2019年8月時点の情報です。
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肥満ワクチンには腸内細菌が関係している

痩せ薬の気になる中身は??

研究チームが着目したのは、肥満・糖尿病などに関係している腸内細菌。

今や、肥満と腸内環境の関連性は切っても切れないものになっているようです。肥満ワクチンには、ある腸内細菌が深く関わっています。

クロストリジウム・ラモーサムって?

クロストリジウム・ラモーサムとは、1898年に発見された腸内常在菌。発見当初と現在とでは名前が変わったりもしているんですが、今回の話にはあまり関係ないので、そこは割愛しますね^^;

クロストリジウム・ラモーサムは、フィルミクテス門の菌です。

フィルミクテス……、聞いたことがありませんか?そう、「デブ菌」と呼ばれるファーミキューテス菌もフィルミクテス門です。

腸内細菌の世界は複雑かつ未知の世界で、フィルミクテス門の菌が何万種類あるのかもよくわかっていませんが、業界では(?)フィルミクテス=肥満として考えられています。例えば、フィルミクテス門の菌をバクテロイデーテス門の菌よりも多く持っている人は、カロリーを2%ほど余分に吸収してしまうんだそうですよ(1,000Kcalの食事を摂ったら1,020Kcal吸収するということ)。

そんなフィルミクテス門の中のクロストリジウム・ラモーサムですから、なんとなく肥満と関係していることは想像できますよね。

ちなみに、バクテロイデーテス門の細菌を多く持っている人は痩せやすいといわれています。

クロストリジウム・ラモーサムだけを排除

そこでワクチンの研究チームの話に戻りますが、そもそもチームでは「痩せ薬」を開発しようとしていたわけではなく、ヒトの身体に対して深刻な悪影響をもたらす腸内細菌と特異的に排除する方法を目的としていたのだそうです。

「肥満ワクチン」だけではなく、肺炎球菌に対する特異的なワクチンも開発されています。

腸の粘膜にはもともと免疫細胞が存在していますが、特定の細菌だけを自在に排除することはできません。抗生物質は、本来腸に必要な細菌までやっつけてしまいます。

研究チームが作成した「肥満ワクチン」は、クロストリジウム・ラモーサムに対する免疫を活性化させる働きをするのだとか。なんだか、狙い撃ちという感じですね。

無菌マウスに肥満フローラを移植し、高カロリー食を与えつつワクチンを投与するという実験では、肥満ワクチンを投与されたグループのマウスが、体重増加を約12%抑えられたとのことです。

参考:Gastroenterology

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ワクチンだけで痩せることは可能か

薬だけで痩せられるなら苦労しませんよね

研究チームが開発した肥満ワクチンは、肥満防止薬として認可されたわけではなく、まだ「効果が期待できるかもしれない」という段階ですが、期待は膨らんでしまいます。

実際に、「痩せ薬」に痩せる効果はあるのでしょうか?

あくまでも「肥満防止」に過ぎない

注意しておきたいのが、肥満ワクチンは肥満防止であり、もともと身体に蓄えた脂肪を燃焼させたり体重を減らしたりする効果があるわけではないということです。マウスの実験にしても、ワクチンを投与されたマウスたちは体重の増加を12%抑制させただけで、減らしたとは書かれていないんですね。

ただ、エネルギーを身体に蓄積させるフィルミクテス門の菌を排除することで、太りにくい身体になるということは考えられます

太りにくい身体になるというだけで、ダイエットに効果的なのは間違いありません。同じダイエットをしていても、目に見える変化があるかないかで、モチベーションも変わってきますからね。

肥満ワクチンは「痩せる」のではなく、「痩せやすくなる」ものだと考えると良いかと思います。

本当に痩せることができる薬は存在しない

残念ながら、腸内細菌を利用して痩せられる薬というのは、現在のところ存在しません。体重の減少だけではなく、脂肪も燃焼させる意味での「痩せる」です。

体重だけを減らしたいなら、薬に頼るまでもなく、ファスティングや断食でOKですから。

ちなみに、脂肪の燃焼を活性化させる「ノルエピネフリン」という神経伝達物質を分泌する腸内細菌はいます。ただ、この腸内細菌を増やすには「ヘリグモソモイデス・ポリジャイラス」という寄生虫が必要で、この線虫はマウスにしか感染しないのだそう。

まだまだ先の長い「痩せ薬」への道ですが、腸内細菌の世界は奥が深いので、これからどうなっていくかわかりませんよね。

参考:国立感染症研究所

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まとめ

肥満と腸内細菌の関係に着目して、開発された肥満ワクチン。

特定の腸内細菌に対する免疫を活性化させるワクチンなんて、すごいですよね。このままいけば、きっと極度の肥満に悩む人や糖尿病患者に明るい未来を授けてくれることでしょう。

わたしはわたしで、楽しくゆる~く腸活していきたいと思います!

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